計算のしかた(例つき)
- 1時間あたりの賃金=(基本給+残業代の計算に入る手当)÷ 1か月の平均所定労働時間(労働基準法施行規則19条1項4号)。固定残業代そのものと、家族・通勤・住宅・別居・子女教育手当は入れません。
- 固定残業代に含まれる時間(契約書などに書いてある「◯時間分」)と、実際の残業時間(時間外)を比べます。時間が分からないときは「金額 ÷(1時間あたりの賃金 × 1.25)」で目安を出します。
- 超えた時間 × 1時間あたりの賃金 × 1.25(月60時間を超えた分は × 1.5)= 超えた分の残業代の目安です。
例:基本給280,000円・1日8時間・年間休日105日(月の所定 約173.3時間)、固定残業代50,000円(20時間分)、先月の残業30時間のとき
- 1時間あたりの賃金:280,000 ÷ 173.3 = 約1,615.7円
- 超えた時間:30 − 20 = 10時間
- 超えた分の残業代:1,615.7 × 10 × 1.25 ≒ 20,197円(1円未満は切り上げ)
この20,197円は、固定残業代の50,000円とは別に払われる分です。月の所定労働時間の出し方は、施工管理の手取り計算の「計算のしかた」と同じです。
固定残業代のきまり(法律の原則)
- 会社は、時間外・休日・深夜に働かせたとき、割増賃金(残業代)を払わなければなりません(労働基準法37条)。固定残業代は、この割増賃金の一部を、決まった時間分だけ先に定額で払うしくみです。
- 含まれる時間を超えた時間外・休日・深夜の分は、追加で払うことになっています。厚生労働省のリーフレットでも、固定残業代を採用する会社は「固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨」を求人票などで示すよう求めています。
- 固定残業代の金額が、法律の方法で計算した割増賃金より少ないときは、差額を払う必要があるとされています(厚生労働省の事業者向けQ&A。最高裁判決・通達を引いて説明しています)。
- 固定残業代は、通常の賃金の部分と割増賃金の部分とを判別できるようにしておく必要があるとされています。「基本給に残業代が含まれている」と言われても、いくら・何時間分かが分からない形は、この考え方に合いません。
求人や採用のときに示すことになっているのは、①固定残業代を除いた基本給の額、②固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法、③固定残業時間を超える時間外・休日・深夜の割増賃金を追加で払うこと、の3つです(同リーフレット)。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」(PDF)(新しいタブで開きます)、厚生労働省「スタートアップ労働条件」事業者向けQ&A「固定残業代を支払うこととすれば、残業や休日勤務をさせても別途に残業代を支払わなくてよいでしょうか?」(新しいタブで開きます)、e-Gov 法令検索「労働基準法」(第37条第5項:家族手当・通勤手当などは割増賃金の基礎に算入しない)(新しいタブで開きます)(確認日:2026年10月1日)
明細と契約書で見るところ
- 固定残業代の行:「固定残業手当」「みなし残業手当」「定額残業代」「業務手当」など、名前は会社によって違います。名前が違っても、決まった時間分の残業代として払われていれば固定残業代です。
- 含まれる時間:明細に書いていないことが多いので、労働条件通知書(雇用契約書)・就業規則(賃金規程)・入社したときの求人票を見ます。
- 残業時間:明細の「時間外」「残業時間」の欄。勤怠の締め日と、給与の支払い月がずれる会社もあります(例:前月分の残業が今月の明細に載る)。
- 超過分の行:「時間外手当」「超過残業手当」など、固定残業代とは別の行。含まれる時間を超えた月に、この行が無いときは確かめどころです。
よくある質問
みなし残業(固定残業代)があれば、何時間残業しても残業代は出ないの?
いいえ。固定残業代でまかなうのは、含まれる時間の分までです。その時間を超えた時間外・休日・深夜の分は、追加で払う決まりです(厚生労働省のリーフレット・Q&A)。
残業が少ない月は、固定残業代が減らされる?
固定残業代は、残業が含まれる時間に届かない月も、決まった額を払うのが一般的です。厚生労働省のリーフレットの記載例も「時間外労働の有無にかかわらず、◯時間分の時間外手当として△△円を支給」となっています。扱いは契約書や就業規則で確かめてください。
「基本給に残業代が含まれている」と言われた。内訳が分からないときは?
固定残業代は、通常の賃金の部分と割増賃金の部分とを判別できるようにしておく必要があるとされています(厚生労働省のQ&A)。労働条件通知書や就業規則で、固定残業代がいくら・何時間分かを確かめてください。分かったら、このチェッカーの「固定残業代の金額」にはその部分だけを、「基本給」には残りを入れます。
「みなし労働時間制」とは違うの?
違うしくみです。外回りなどで働いた時間を決まった時間とみなす「事業場外みなし労働時間制」や「裁量労働制」は、労働時間の数え方の決まりです。固定残業代は、残業代の払い方(定額で先に払う)の話で、このページはこちらを扱っています。
超えた分が出ていなかったら、どうすればいい?
まずは、実際に働いた時間の記録(勤怠の記録やメモ)と明細を手元に残しておくと安心です。会社の労務の担当に計算のしかたを確かめるほか、労働基準監督署や総合労働相談コーナー(新しいタブで開きます)でも相談できます。このサイトでは、個別の相談には応じていません。
施工管理(現場監督)でも同じ?
同じです。ただし、労働基準法の「管理監督者」にあたる人は、労働時間・休憩・休日の決まりが適用されません。管理監督者かどうかは、役職の名前ではなく、仕事の内容・責任と権限・働き方などの実態で判断されます(深夜の割増賃金は管理監督者にも必要です。厚生労働省の資料(新しいタブで開きます))。
出典と確認日
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします。」(PDF)(新しいタブで開きます)(確認日:2026年10月1日)
- 厚生労働省「スタートアップ労働条件」事業者向けQ&A「固定残業代を支払うこととすれば、残業や休日勤務をさせても別途に残業代を支払わなくてよいでしょうか?」(新しいタブで開きます)(確認日:2026年10月1日)
- e-Gov 法令検索「労働基準法」(第37条第5項:家族手当・通勤手当などは割増賃金の基礎に算入しない)(新しいタブで開きます)
- e-Gov 法令検索「労働基準法施行規則」(第19条:1時間あたりの賃金の出し方、第21条:算入しない手当)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」(PDF)(新しいタブで開きます)
- 厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」(PDF)(新しいタブで開きます)
このページの計算結果は概算(目安)です。個別の税務・労務の相談には応じていません。
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